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エグゼクティブコーチングとは

日本には、経営者向けの成長の場が少ないように思います。企業のトップには不要なのでしょうか。複雑な事情が絡み合ったなかで、日々、社運を左右する経営判断を求められる経営者や役員にこそ、パフォーマンスを上げるための場は必要です。収益性の向上や高い成果を上げる組織をつくりあげる素質を磨くために、エグゼクティブコーチングを導入する企業が近年増加傾向にあります。

目次

1.1.エグゼクティブコーチングについて

1ー1.特徴

エグゼクティブコーチングは、ビジネス領域に特化したコーチングです。一般的なコーチングは、コーチとクライアントの対話を通じた個人の自己実現や目標達成が目的となります。エグゼクティブコーチングは、利益獲得や組織力向上に対して、経営者や経営幹部層がより良い影響を与えるための意識・行動変革プログラムとなっています。

1ー2.取り扱うテーマ

テーマは自然とビジネスに関するものとなります。ただし、個人的な問題が企業成長に関わっている場合は、その限りではありません。

・テーマ例
 ー 経営戦略の立案や意思決定
 ー 全社へのビジョン、理念浸透
 ー 組織・風土・人事制度改革
 ー 次世代リーダー、管理職・マネジャー育成
 ー イノベーションの促進、生産性の向上
 ー 経営層のパフォーマンス向上を目的とした自己変革
 ー 部下や苦手タイプとのメンバーのマネジメント
 ー チームビルディング

1ー3.コンサルティングとの違い

コンサルティングは、クライアントに代わって企業課題のソリューションを提供します。しかし、エグゼクティブコーチングはソリューションを提供しません。経営戦略の立案や企業分析を代わりにしてくれるわけでもありません。
主目的は、クライアント(コーチングを受ける側)の変革・成長となります。場合によっては、コーチから経営判断をするうえでのアドバイスをもらえるかもしれませんが、基本的にはクライアント自身が問題解決に向き合い、解決できるようサポートするのがコーチの役割となります。

1ー4.コーチングの流れ

・導入セッション、ヒアリング
エグゼクティブコーチングは1on1の対話形式によるセッションが一般的です。いきなりコーチングを実施するのではなく、まずエグゼクティブコーチングを導入する目的や何を成果とするのかをクライアントとコーチの間で確認するところから開始します。ざっくばらんにクライアント自身の現状の思いや悩み、課題感、あらゆるすべてを聞かせてもらうことからはじまるのです。

・定期コーチングセッション
一般的には1回のセッションは60分〜90分。期間は3ヶ月から1年ほどです。期間中は、対話を通じて決めたアクションに取り組んでいただき、次回のセッションで進捗確認や評価、次のアクションを決めるといった流れとなります(「経験学習の取り入れ)。
具体的なセッション手法は、コーチによって異なります。ツールを駆使しながら数字をもとに対話を進めていくものもあれば、オンラインでの対話や、ゆったりソファに座り時に隣同士で座り、ビジョン・課題を聞き出し書面に落とし見つめながらひたすら対話を繰り返していくこともあります。
手法は多種多様ですが、基本はクライアント本人が抱える「課題」や「目標」をセッションの起点とし、コーチがクライアントに質問を投げかけていきます。例えばチームビルディングがテーマであれば「部下とどのような思いを共有したいか」「あなたも含めた全社員が幸せに感じられる職場はどんな職場か」。事業がテーマであれば「その事業を通じて、何を成し遂げたいのか」「企業成長のために、本当にその事業をやるべきか否か」といった質問です。対話を通じて、課題解決または目標達成までにどのようなプロセスを踏んでいくのかを、具体的なアクションプランに落とし込んでいきます。

1ー5.料金相場

料金はコーチによって異なりますが、エグゼクティブコーチングでは1回のセッションあたり5万円ー20万円、もしくはそれ以上と料金幅があります。半年間、1年間での契約が多く料金設定はある種コーチの力量が反映されたものです。安いから低品質、高ければ高品質と必ずしもそういうわけではありません。クライアントの満足度が継続の判断基準ですので1回30万円でそれに見合った価値の提供ができているのなら1年間に渡ってコーチングが継続していきますし、逆にそれほど効果がなければ契約は即終了となります。
長期に渡ってコーチがコーチングを提供しているなら、それはエグゼクティブコーチングが料金以上のインパクトを経営者や社長、役員にもたらし、経営者の意思決定に影響力を持ち事業の価値につながっている証拠です。一方で価値に見合うコーチングを提供できるコーチはそう多くはありません。「自分に対してどれだけ投資できるか」「コーチの経歴、職歴、背景は妥当か」また経営者や事業に「クライアント以上に本気で向き合ってくれる人かどうか」を基準に考えてみてください。

2.どんな人が受けているのか

社長、経営陣や本部長、事業部長などの上級管理職、経営幹部候補といった、企業の売上や利益、成果に直結する責任がある人が対象です。経営幹部候補のなかでも新任の役員、社長は「経営」という新しい領域で活躍するためのマインド・経験・スキルが未開発なため、エグゼクティブコーチングは効果が高いものになりやすいです。
一方で、10年後20年後を見据えた若手次世代候リーダークラスへのエグゼクティブコーチングは、現状の業務との問題点や経営課題のレイヤーギャップが大きすぎるためエグゼクティブコーチングの成果は現れにくいかもしれません。

3.エグゼクティブコーチングを受ける理由

3ー1.自問自答する時間の確保

「走り続けなければ」「止まったら取り残される」と焦燥感を持つ経営者は少なくありません。エグゼクティブコーチングは、そんな経営者にいったん立ち止まってじっくり考える時間を与えてくれます。がむしゃらに突き進みながらも「このままで本当にいいのか?」という心の声に、しっかりと耳を傾けられる時間になるためです。
コーチは企業経営の当事者ではない立場をだからこそ、霧の中を走り続ける経営者本人が気づきにくい、その先の景色が見られる適切な「問い」を投げ掛けられるのです。自分にはない観点からの質問や気づき、新しい可能性を示してくれます。

3-2.相談者(壁打ち相手)の獲得

経営のトップに昇り詰めるほど人は孤独になりがちです。社内に相談できる人が減っていくためです。しかし相談できないからといって、過去の成功体験のみで企業経営するのはあまりにも危険です。常に自分をバージョンアップさせるためには、忖度なく意見やアドバイスを気軽にくれる存在が不可欠です。
その点、利害関係のないコーチは客観的な立場にいます。忌憚ないフィードバックをくれるパートナーとして、エグゼクティブコーチングを活用しているエグゼクティブ層は少なくありません。

3-3.経営幹部の育成

人材育成は企業経営の重要ファクターです。経営幹部層の育成観点から、スキルや知識、スタンス、また目の前の課題という短期的なことでない長期的なテーマを対話する機会の提供が必要です。
経営とは何か、事業の今後をどうしていくか、顧客への価値とは何かといった大きなテーマであり、5年10年先まで見据えた視点で企業の今後を対話していくエグゼクティブコーチングを取り入れる企業が増えています。

4.期待できる効果

4-1.幹部、経営リーダーとしての資質向上

VUCA、市場予測が困難な現在のビジネス環境において、エグゼクティブ層の経営判断は企業の進退を大きく左右します。高度な意思決定を適切なタイミングで行うための、リーダーとしての適切な視座・視点を持つこと、また意識変革・行動変革の実現が期待できます。

4-2.精神的コンディションの安定

大きな責任を負うエグゼクティブ層は、多かれ少なかれ常に「恐怖」と戦うポジションといるといえます。誰にも相談することができず時には情報が揃わない中で大きな決断を迫られるのです。安定した精神状態でなければ適切な判断を下すのは難しくなります。
エグゼクティブコーチングによって「恐怖」と向き合う術を知り、冷静に状況を認識して、適切な意思決定ができる心理状態へと導いていきます。またコーチと強い信頼関係を構築できますので、孤独になりがちな経営者の心強いパートナーとなってくれるでしょう。

4-3.組織への好影響

影響力のあるエグゼクティブ層の変化は組織全体に広がり、社員や部下の意識変革に繋がります。また、コーチングを受けると、自身にコーチングスキルが身につきます。
部下との対話にもコーチングを活かせるようになり、コミュニケーションの質が向上します。その結果、社内の空気感が挑戦的になるなど、組織風土の変革が期待できます。

5.どのようなコーチを選べばよいか

5-1.目的や目標に関する対話が充実しているか

ただ単に「話をしてスッキリした」では何も変わりません。ある調査では目的や目標を明確にして成果に向けて具体的なアクションプランや期限を決めて要望するエグゼクティブコーチが高い成果を上げているという報告があります。
いわば経営者自身に「セッションの目的とゴールを明確」にして、次のセッションまでに「実行を伴った経験学習を回してもらう」スタイルをとるのです。具体的な数値や外部基準は、経営者に達成に向けた意欲喚起が出来るのです。「変化」という結果を求めたいならそんなコーチを選んでみください。
【出典】CSES 調査レポート 2015「成果を出す経営者とエグゼクティブ・コーチング」
https://cri.coacha.com/reports/research/cses2015.pdf

5-2.ビジネス経験が豊富かどうか

基本事項となりますが、コーチ自身がビジネスや経営経験が豊富かどうかも重要です。コーチ自身の経歴・職歴、知見や経験に基づいた「問い」「アドバイス」は、より納得度の高いものとなるでしょう。
自分と同業界・職種の経験を求める必要はありません。性別・年齢も関係ありません。そのコーチはどのような経験をしてきたのか、自分にない視点を持っていそうかどうか、志向、価値観はどうなのか。コーチングのコーチを選ぶには相性も含めて実際に話してみることをお勧めします。
経営者とサラリーマンでは、意識、思考、価値観がかなり違いますので、エグゼクティブコーチの資質として、経営フィールドの経験や日々経営者と高いレベルで議論しているかがエグゼクティブコーチに求められるのです。
エグゼクティブ層の自己変革において、コーチングはひとつの手段でしかありません。重要なのは、自身がどれだけ向上心や変革を意識できるか、そして行動に移せるかどうかです。トップがトップであり続けるためには、常に先を行く必要があります。さらなる自己研鑽を積み重ねたいと考えているのであれば、エグゼクティブコーチングを選択肢のひとつに入れその価値を体感してください。

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