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「自己理解」すれば「自分軸」が見つかる?|あなたのキャリアを止めているその誤解

診断ツールを受けた、強み弱みも書き出した、キャリアの棚卸しもした。それでも「このままのキャリアでいいのか」「自分軸って?」「何がしたい?」という迷いは消えない。そんな感覚を抱えている30代・40代のビジネスパーソンは少なくありません。

多くの場合、この状態への対処は「もっと自己理解を深めよう」という方向に向かいます。新しい診断を受ける、別の自己分析本を読む、キャリアの棚卸しをやり直す。しかし、深掘りを重ねても迷いが晴れないまま時間だけが過ぎていく、という経験をした人も多いのではないでしょうか。

実はこの違和感、頑張りが足りないからではなく「自己理解を深めれば自分軸が見つかる」という前提そのものが成立していないことから生まれています。「自己理解」と「自分軸」は別の性質を持つものであり、深堀りの量を増やすだけでは、「自分軸」には変わりません。

この記事では「自己理解」と「自分軸」の構造的な違いを整理したうえで、なぜ「自己理解」だけでは「自分軸」が定まらないのか、そして「自己理解」を実際に使える判断基準へと育てていくにはどうすればいいのかを、経営者・エグゼクティブ、ビジネスリーダーのコーチングを手がけてきた知見も踏まえて解説します

自己理解、自分軸に悩んでいるビジネスパーソンのイラスト画像

自己理解だけではキャリアは何も変わらない/コーチングで必要なこと

< 監修:大和 直紀(株式会社ペイサー 代表コーチ)>

リクルート(HR事業)出身。ベンチャー企業の執行役員・上場企業の事業統括責任者、2社の取締役を歴任。2016年より中小企業経営者、執行役員、シニアマネジャー向けコーチングを開始。累計セッション3,850時間・延べ350名以上。米国CTI認定プロフェッショナルコーチ(CPCC)

目次

1.自己理解を頑張っても、キャリアの迷いが消えない理由

1-1.自己理解とは何か──静的なインプット

自己理解とは、自分の性格や価値観、思考のクセを「知る」プロセスです。

これは、ある時点での自分の状態を把握するという意味で、性質としては静的なものです。どれだけ深く自己理解を進めても、それ自体は「知識」の域を出ません。

1-2.自分軸とは何か──動的なアウトプット

一方、自分軸とは、その知識をもとに実際の場面で意思決定をしていく「判断基準」です。

転職の誘いを受けるかどうか、部下への評価をどう伝えるか、家庭とキャリアのバランスをどう取るか。こうした具体的な選択の場面で機能してはじめて、自分軸は自分軸として意味を持ちます。つまり自己理解は素材であり、自分軸はその素材を使って判断を下す仕組みそのものです

2.なぜ自己理解は自分軸に自動変換されないのか

ここが最も見落とされがちなポイントです。

自己理解を深めれば自然と自分軸が定まる、という前提そのものが実は成立していません。その理由は、学習の仕組みを説明する「二重ループ学習」という考え方で整理できます

2-1.シングルループ学習:行動だけを微調整する

シングルループ学習とは、既存の前提や価値観はそのままに、行動や選択肢だけを調整する学習です。

「今回はこう対応しよう」という表面的な修正にとどまり、判断の土台そのものは変わりません。自己理解の情報を「知識として持っておく」だけの状態は、まさにこのシングルループの範囲にとどまっています

2-2.ダブルループ学習:判断の前提そのものを問い直す

一方、ダブルループ学習とは、行動の背後にある前提や価値観そのものを問い直す学習です。

「なぜ自分はこの選択を優先しているのか」「その前提は本当に今の自分に合っているのか」を検証し、必要であれば前提自体を書き換えます。自分軸とは、このダブルループを回し続けることで初めて手に入る「使える判断基準」です。自己理解だけを積み重ねても自分軸が定まらないのは、シングルループの中で情報を増やしているだけで、前提を問い直すダブルループのプロセスに入れていないからです

»エグゼクティブコーチングとは?経営者向けコーチングの効果・料金・流れ

3.自分軸が定まる人と定まらない人の違い

3-1.自己理解を一度きりのイベントで終わらせてしまう人

診断結果やワークの成果を「答え」として保管し、それ以降は見返さない。

新しい意思決定の場面が来ても、過去の自己理解の結果をそのまま当てはめようとする。状況は変化しているにもかかわらず前提を更新しないため、判断がずれていきます

3-2.自己理解を意思決定の基準として使い続けている人

自己理解で得た情報を「仮の基準」として意思決定の場面で実際に使ってみる。

その結果を振り返り、基準が今の自分に合っているかを検証し、必要なら更新する。この検証と更新のサイクルこそが、自己理解を自分軸へと育てていくプロセスです

4.自己理解を自分軸に変える3つのステップ

4-1.ステップ1:自己理解を「価値観の言葉」に翻訳する

診断結果や性格特性は、そのままでは判断基準として使いにくい情報です。

「安定より挑戦を優先したい」「裁量の大きさを重視する」など、意思決定の場面で使える価値観の言葉に翻訳します

4-2.ステップ2:小さな意思決定で仮の自分軸を試す

いきなり転職や異動といった大きな決断に自分軸を当てはめる必要はありません。

日々の小さな選択の場面で「この基準で判断したらどうなるか」を試し、精度を上げていきます。

例えば「裁量の大きさを重視する」という仮の自分軸があるなら、新しいプロジェクトへの誘いを受けたとき、そのプロジェクトが裁量をどの程度与えてくれるかを基準に判断してみます。判断してみて初めて、その基準が本当に自分に合っているかどうかが見えてきます

4-3.ステップ3:結果を振り返り、前提を書き換える

試した結果、しっくりきたのか、それとも違和感が残ったのかを振り返ります。

違和感が残った場合は、価値観の言葉そのものを修正し、次の意思決定に活かします。このサイクルを回し続けることが、まさにダブルループ学習であり、自分軸を育てるプロセスです

5.一人で自分軸を作ろうとすると陥る罠

5-1.自分の前提には自分では気づけない

判断の前提や思考のクセは、本人にとっては「当たり前」すぎて、自分では認識しづらいという構造的な限界があります。

自己認識と他者からの見え方の間にはズレが生じやすいことは、経営者を対象にした調査でも指摘されています

»自己認識はなぜズレるのか、経営者に必要な視点を解説した記事

5-2.他者の視点が前提の書き換えを助ける

だからこそ、自分の前提を可視化し、問い直す作業には、第三者の視点が大きな役割を果たします。

ビジネスコーチは、まさにこの「前提を問い直す対話」を専門的に伴走する存在です

»ビジネスコーチングとは?目的・効果・選び方・料金をプロコーチが完全解説

 

ここまで読んで「自分の前提を、誰かと一緒に問い直してみたい」とお感じの方へ。
ペイサーでは、オンラインでのコーチングを通じて、自己理解を自分軸に育てるプロセスに伴走しています

»オンラインコーチングを受ける

6.まとめ|自己理解はスタートライン、自分軸はゴールへの道のり

自己理解を深めることは、自分軸を持つための必要条件ではありますが、十分条件ではありません。

知識としての自己理解を、意思決定の場面で使い、検証し、前提を書き換え続けるダブルループのプロセスこそが、自分軸を「使える判断基準」に育てます。

この前提の書き換えは、一人で行おうとすると自分のブラインドスポットに阻まれやすいプロセスでもあります。第三者と対話しながら自分軸を育てていきたい方は、下記のページもあわせてご覧ください

»オンラインコーチングを受ける
»ビジネスコーチングとは?目的・効果・選び方・料金をプロコーチが完全解説

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