1.スタートアップ社長が直面する「特有の孤独と焦り」
スタートアップの経営者は、大企業の管理職とも、安定期の中小企業社長とも異なる種類のプレッシャーを抱えています。
事業はまだ検証中。組織もまだ未整備。それでも毎日、意思決定を迫られ、メンバーを引っ張り、投資家や顧客との関係を維持しなければならない。「この方向で合っているのか」という問いへの答えが出ないまま、走り続けている状態です。
さらに、こんな特有の難しさがあります。
- 同じ立場で本音を話せる相手が極端に少ない
- メンバーには弱みを見せられない場面がある
- 頭が良く、論理的に考えられるからこそ、思考が空回りしやすい
- 成功体験と失敗体験が短期間に混在し、自己評価が不安定になりやすい
- 「自分がやらなければ」と抱え込みすぎて、視野が狭くなる
これらは「能力の問題」ではありません。スタートアップという構造的な環境が生み出す、必然的な思考の詰まりです
2.実際のコーチング事例①:大手コンサルファーム・上場スタートアップ出身の社長
ペイサーが数年来支援しているスタートアップ社長の事例をご紹介します(社名・個人名は伏せさせていただきます)。
この方は、大学院修了後、外資系コンサルティングファームを経て、国内上場スタートアップでデジタル戦略部門の責任者として事業開発に携わったのち、独立された方です。極めて論理的な思考力と高い当事者意識を持つ経営者です。
テーマ①:思考のクセを客観視する
優秀な経営者ほど、特定の思考パターンを持っています。それが「勝ちパターン」になる時もあれば、「詰まりのパターン」になる時もある。コーチとの対話の中で、「自分はこういう時に、こういう判断をしやすい」という自己認識を深めることが最初のステップです
テーマ②:自分の「勝ちパターン」を取り戻す
うまくいかない局面では、自分の強みが見えにくくなります。コーチングでは過去の成功体験を丁寧に掘り起こし、「自分はどういう状況で、どんな行動が機能してきたか」という原点に立ち返る時間を作ります。それが自己肯定感の回復と、次の一手への確信につながっていきます
テーマ③:「1ミリの前進」を積み重ねる
大きな変化を一気に起こそうとするのではなく、今週・今月できる「1ミリの前進」を明確にして動き出すこと。この小さな積み重ねが、長期的な事業の前進を生み出します。コーチはその「ブレーン」でも「パートナー」でもあります。答えを出すのは経営者自身ですが、その思考を整理し、言語化を助け、行動を後押しするのがコーチの役割です
3.実際のコーチング事例②:15人の業務委託メンバーを率いるプラットフォーム事業の社長
もう一つの事例は、数年前からセッションで支援しているスタートアップの社長です。「教えたい人と学びたい人をつなぐ」プラットフォームサービスとサービスプロデュース・広告運営を手がけており、約15人のパートナーと協働しています。
この方が抱えていた最大の課題は、「少数のメンバーをどうマネジメントするか」という問題でした。
メンバーは、社員と違って命令系統が機能しません。関係性の作り方、動機の引き出し方、権限と責任のバランス——すべてが難しい。さらに、こんな課題も重なっていました。
- 自分がすべてに関与しすぎて、スケールできない
- リーダークラスに「任せる」を「投げる」になってしまい、サポートがなかった
- メンバーのアビリティを考慮せず仕事を振り、失敗させてしまった
- 社長の視点と現場のギャップが埋まらない
これは多くのスタートアップ社長が通る道です。マーケティングは得意でも、育成・マネジメントに意識が向かないのは、フェーズの問題であって、能力の問題ではありません
コーチングで取り組んだテーマ:「個をあるがままに生かす」マネジメント
このセッションで中核となったのは、リクルートで30年以上にわたり組織と人間の「感情」「個性」を追求し、リクルートのDNAを作ったといわれる、元専務・大沢武志氏(故人)の哲学です。
江副浩正氏のもとで人事・組織開発の第一線を歩んだ大沢氏が説いたのは、「個をあるがままに生かす」という思想です。画一的なマネジメントではなく、一人ひとりの個性・感情・強みを起点にした関わり方こそが、組織を本当に動かすという考え方です。
コーチングでは、この思想をフレームとして提供しながら、「この人はどういう人か」「何が動機になっているか」「どう関われば力が発揮されるか」を社長自身が考え、実践するサイクルを作っていきました。
現在は、「自分はどこまでやるべきか」「どうスケールしていくか」をテーマに、マネジメントの確立と拡大フェーズを支援しています
4.スタートアップ社長がコーチングを受けるべきタイミング
「まだ早い」と思っているスタートアップ社長ほど、実はコーチングが必要なタイミングにいることが多いです。以下のいずれかに当てはまる場合、コーチングは特に有効です。
- 事業の方向性に迷いはないが、思考がうまく整理できない
- 優秀なメンバーがいるのに、組織がうまく動かない
- 自分がやりすぎていて、スケールできない感覚がある
- 何かが詰まっているのに、何が問題かが言語化できない
- 自分の強みと弱みを、客観的に見てもらいたい
- ステージが上がるにつれて、孤独感や焦りが増している
- 投資家や社内では言えない本音を、安全な場で話したい
コーチングは、事業の答えを教えてくれるものではありません。しかし「自分はどこに向かいたいのか」「今、何が本当の課題か」「次の一歩は何か」を、対話の中で自分自身が発見していくプロセスを作ります
5.月1回60分のコーチングが、なぜ事業を動かすのか
「月1回、60分」——これだけ聞くと、少なく感じるかもしれません。しかし、スタートアップ社長にとってこの時間が持つ価値は特別です。
スタートアップの日常は、常に目の前の課題への対応に追われます。戦略的に考える時間、自分を振り返る時間は、意識しないと消えてしまいます。コーチングの月1回のセッションは、「立ち止まって、自分と事業を俯瞰する強制的な時間」として機能します。
セッションで起きることは主に3つです。
- 思考の棚卸し——頭に散らばっている課題・感情・判断を整理し、「今本当に向き合うべきこと」を浮き上がらせる
- 自己解像度の向上——自分の思考パターン・判断の癖・強みと弱みを客観視することで、次の行動の質が上がる
- 次の一手の明確化——「今月、何を動かすか」が言語化される。小さくても具体的な行動が決まると、翌月が変わり始める
エグゼクティブコーチングの詳細については、こちらの記事もご参照ください。
6.スタートアップ社長向けコーチングの選び方
コーチングサービスは多数ありますが、スタートアップ社長が選ぶ際に重視すべき点は一般のコーチングとは少し異なります
①経営・ビジネス経験があるコーチかどうか
スタートアップの経営課題は複雑で、ビジネスの文脈を理解したコーチでなければ、対話の深さが出ません。コーチ自身のビジネス経験・実績を確認することが重要です
②守秘義務があり、安全に話せる環境か
投資家にも社員にも言えない本音を話すためには、守秘義務が保証されていることが前提です。コーチングサービスの守秘義務の扱いを事前に確認してください
③「答えを出す」のではなく「一緒に考える」スタンスか
コンサルティングとコーチングの違いは、「答えを与えるか、引き出すか」です。スタートアップ社長に必要なのは、外部からの正解ではなく、自分の中にある答えを引き出してくれる伴走者です
④トライアルセッションで相性を確認できるか
コーチとの相性は非常に重要です。本格的に始める前に、体験セッションで「この人と話すと、頭が整理される」という感覚を確認することをおすすめします。
コーチングと他の支援の違いについては、こちらの記事も参考にしてください
7.まとめ:スタートアップ社長こそ、コーチングが「最も効く」
この記事のポイントを整理します。
- スタートアップ社長が感じる「焦り・孤独・思考の詰まり」は、能力の問題ではなく構造的な問題
- コーチングは答えを与えるのではなく、「自分の中にある答えを引き出す対話」である
- 思考のクセの客観視・勝ちパターンの回復・1ミリの前進の積み重ねが、事業を動かす
- 業務委託メンバーのマネジメントには、「個をあるがままに生かす」視点が有効
- 月1回60分のセッションが、戦略的思考と自己解像度を継続的に高める
「まだ自分には早い」ではなく「今こそ必要」——そう感じた方は、まずはトライアルセッションを体験してみてください。何を話すか決めていなくて大丈夫です
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